【なんとなく考察】フロントセンターとトレイル値(ロードの話し)

【なんとなく考察】フロントセンターとトレイル値(ロードの話し)

オーダーメイドフレームを多く承っておりますが、人気ブランドと言えば圧倒的に東叡社
その次に鶴岡レーシングさん・ケルビムさん・ストラトスさん・SWwatanabeさん・・・と続いていきます
この前、鶴岡レーシングさんに依頼するものがあって、WEBサイトを覗いたのですが、オンラインサイトが出来上がっていました

現状ではセミオーダーフレームだけの様ですが、今後の展開が楽しみですね!
セミオーダーフレームとはいえ、フレームサイズはかなり多くラインナップされており、ロードバイク・トラックバイクとしてなら充分多くの方に対応していると思います

詳しくは鶴岡レーシングさんのWEBサイトをご覧頂きたいのですが、ロードバイクのジオメトリーを見ていると「そうだよね!!そうそう!!」といえるジオメトリー寸法が並んでいたので、チョットご紹介

ロードバイクの場合、荷物を付けずに快走することが前提だと思いますが、ハンドルの操作感はとても重量
真っ直ぐ進みやすい安定感とコーナーでのクイックな旋回性のバランスの為に、ホイールベース(実際にはハンガー下がりやリアセンター長はそんなに違わないので、フロントセンター長が重要になります)とフォーク周辺寸法が判断材料になります

フロントセンターが長ければ安定性が増しますし、短ければ旋回性が高まります
但し、寸法には前後輪の荷重バランスも重要です
あまりに長いフロントセンター長は前輪への荷重が少なくなり過ぎて、適切な路面グリップを得られず、かえって安定性は得られなくなってしまいます
その分、リアセンター長を伸ばして前後の荷重バランスを整えなくてはなりません
今回は常識的なフロントセンター長でのお話しに留めます

フォークのサイズは単体で見ることは少なく、ホイール径とヘッドアングルとフォークオフセットの3点を同時に考慮し、トレイル値を算出します

上画像は、タイヤ直径が676mm・ヘッドアングルが73.0°・フォークオフセットが45.0mm
56.3mmがトレイル値となります
計算式はトレイル値=(ホイール半径 x cosヘッドアングル – フォークオフセット)÷ sinヘッドアングル 

トレイル値が長いと安定して、トレイル値が短いと旋回性が増します
どんな自転車(2輪車)でも、安定してストレートに走りたいしカーブはクイックに曲がりたいもの

またトレイル値だけでハンドリングを論ずることもありますが、同じトレイル値でもヘッドアングルとフォークオフセットが違えばハンドリングは変化します
ハンドルバーを切る(コーナーを曲がる)とハンドルバーは左右だけでなく、上下にも移動します
フォークオフセットが大きいと上下の落差が大きくなりハンドルバー自体が下に下がり、元の真っ直ぐな位置にしようとすると上に持ち上げる力の必要があります
よくツーリング車を販売すると「ハンドルの切れが重い」という言葉を頂きますが、フロントセンター長を伸ばす為等でフォークオフセットを長くしたツーリング車は「ハンドルの切れを重くした設計」となっている訳です

では、鶴岡レーシングさんのセミオーダーロードフレームのジオメトリーからトレイル値を計算してみると・・・(一般的な700x25Cで計算)
5S・・・61.4mm(フロントセンター571.3mm)
4S・・・61.4mm(フロントセンター575.0mm)
3S・・・62.2mm(フロントセンター575.9mm)
2S・・・60.4mm(フロントセンター578.4mm)
S・・・59.4mm(フロントセンター578.1mm)
M・・・59.4mm(フロントセンター584.8mm)
L・・・58.4mm(フロントセンター587.8mm)
2L・・・58.4mm(フロントセンター603.0mm)

ロードバイクのトレイル値はおおまかに50mm台後半から60mm台前半までがオーソドックスですが、全てのサイズでその寸法に入っています
しかも多少の誤差はあれど、ホイールベースが短くなる小さめサイズは旋回性が高まり過ぎない様に少し安定重視の長めになり、サイズが大きくなるほどトレイル値は小さくなっていき、フロントセンターは長くなります

フレームサイズが大きくなると、当然乗車するライダーも高身長になります
そのことで、自転車全体の重心が高くなりますので、前後の安定感(不意のウイリーやジャックナイフにならない様に)の為にホイールベースを長くする必要があります
ホイールベースが長くなると、旋回性が損なわれますので曲がりやすい様にトレイル値を短めにセットします
そうすることで全サイズで均一化されたハンドリングを得られやすくなります

非常にバランスが取れ考えられたジオメトリーだなっと思います

凄くいいかげんな言い方になりますが、フロントセンター10mm長くなったらトレイル値を1mm短くすると、近いハンドリングが得られる様に思います
例えば、590mmのフロントセンターでトレイル値が60mmの自転車と600mmのフロントセンターでトレイル値が59mmの自転車のハンドリングはかなり近くなります

更にフォーク周辺はトレイル値だけでなく、オフセットの違いでハンドリングも変わりますから、オフセットが少ないフォーク程ハンドル操作が軽快になりますので、軽くしたいなら設計段階で軽いハンドル操作の為にフォークオフセットを短めにして、ヘッドアングルの調整をします
ヘッドアングルを調整するとフロントセンター長が大きく変わりますから、トップチューブ長を変更する
そうすると、ポジショニングが変化しますから、ステム長を変更してポジションを出すという具合で進めていきます

ステム長が変化するとハンドリングへの影響が大きそうですが、個人的には±10mm(合計20mmの範囲)程度のステム長の違いはハンドリングへの影響は小さいと思っておりますので、ポジションの調整はステム長で合わせてしまっています

このジオメトリーを実現させているポイントはフォークオフセットです
鶴岡レーシングさんのセミオーダーロードフレームには実に6種類のフォークオフセットが用意されています

オーダーメイドフレームの場合フォークオフセットを考えるのは、当たり前ですが、メーカー市販車はそうはいきません

少し前までのメーカー市販車だと、ロードバイクのフォークオフセットは1種類(大抵が45mm)で済ませて、ヘッドアングルの違いでホイールベースの調整をしていたメーカーが殆ど

小さいフレームは70°位までヘッドアングルを寝かせて、トレイル値が75mmにもなる様な場合も珍しくありませんでした
そんな寸法にしてしまうと、ハンドリングは重くなり直進性の特化し過ぎて曲り難い自転車になってしまいます

さすがに近年は、メーカー完成車でも2~3種類ほどのフォークオフセットが用意されていることも増えましたので、心配は減っていますが油断は禁物です
高級ロードフレームの生産は台湾が最も多いと思いますが、分業制が進んでおり、フレームを作る工場とフォークを作る工場が違い、発注・生産・組立ての煩雑さを少なくする為に今でも全サイズ同一フォークという自転車もありますからね

このフォークの寸法がオーダーメイドにおいて結構重要だと思いますし、存在意義のひとつでしょうか

では、ツーリングバイクではどうでしょう?
ロードバイクと違い、前泥除けとつま先のクリアランスとフロントバッグ(フロント荷重)という2つのファクターが加わります

ツーリング車はフロントセンターが長く、フォークオフセットが長く、ヘッドアングルが寝ていて、トレイル値は短くなっていることが殆ど
フロントセンター長が長くなった分と荷物でフロント荷重が多くなった分旋回性は落ちますし、オフセットが長いので、ハンドルの切れも重ためセッティングになりますから、その分トレイル値を短くしてバランスを取っています

このことに関して、岩井商会さん(ガンウェル)の元ビルダー(現東京サイクルデザイン専門学校講師)北島さんのブログに解りやすく書いてありましたので、コチラからリンク先をご覧ください

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