MKS新作ペダルとBB位置の話し※9/19訂正

MKS新作ペダルとBB位置の話し※9/19訂正

以前から一部で話題をさらっていたMKS(三ヶ島ペダル)の「シーホース」が遂に発売になりました
全面アルミボディで、ツーリングバイクにも違和感は少ないと思います(トラディショナルな世界では違和感は無いっとは言いにくいですが、velocraftでは以外と多い「非ビンディング派のブルベライダー(ランドヌール)」のお客様からのご予約が多かったです)

縦長なデザインで踏み面も広くリフレクターも標準装備ですので、使いやすい両面踏みペダル

ポイントは「縦長デザイン」だと大槻は思っています
前後の長さを取って踏み面面積を確保することで、長時間スニーカーで踏んでも足の裏が痛くなり難く左右の横幅が狭くなることで、高速域でのコーナーリングの出口でペダルを回し始めても地面とヒットし難くなっています(ロードクリアランス(リーン角度)の確保)

ロードバイクやMTB等と比べてダンシングを多用しないツーリングバイクではBBハイト(BB中心位置と地面までの距離)を短く(低く)設定することが多いですが、ある程度アグレッシブにコーナーを攻める場合に車体を内側に寝かせてコーナーを曲がり始め、コーナー終わりの直前にペダリングを再開しようとすると、まだ車体がコーナーに合わせて寝た状態ですので、どうしてもペダルと地面を擦ってしまうことがあります
それを防ぐ為にペダル幅を狭くすることとBBハイトを高くすることはとても有効です

例えば、競輪用の自転車はBBハイトが極端に高くなっています
急角度で立ち上がるバンクのコーナーでペダルをヒットさせない為で、33°バンクと45°バンクではBBハイトの違う自転車を使うことは良くある話ですし、競輪用のペダルも幅が狭く作られていますよね

ツーリングバイクの設計でもBBハイトは非常に重要だと思います
大槻はフレーム設計する時に使用するクランクの長さとペダルを元にフレーム寸法で一番最初に決めるのが、この「BBハイト」です

細かい数値は置いて、650x42Bランドナーにクランク長165mm・BBハイト272mm・BBドロップ63mmで今回のシーホースを装着すると、リーン角度は30.4°になりました

同じ寸法の自転車に定番のMKSシルバンツーリングを装備すると、27.2°になりました
3°以上変化するのは、地面とペダルをぶつける・ぶつけないの瀬戸際の違いですから、いざという時にはかなり大きな差となります

大槻がフレームを設計する際にはお客様の指示が無い場合はリーン角度は27°を中心に26~28°は確保出来る様に設計しています
※JIS規格では25°以上であることが定められています(JIS規格外でも違法や不良という訳ではありません)

同じ様な大きさのシルバンロード等の片面踏みペダルはリーン角度を稼ぐ為に、地面とヒットしやすい部分は斜めにカットされていますので、同じ大きさのペダルよりも2°程度リーン角度が稼げますから同じフレーム設計でも地面へのヒットの確立は減ります
シルバンツーリングを使用すると26°のリーン角度が確保出来ない場合にはシルバンロード等のリーン角度が大きく取れるペダルが必要になる訳です

ところで、BBハイトが低い自転車(低重心の自転車)を「安定感がある」と説明することが有りますが、これは本当でしょうか?大槻はいつも疑問に思っています

重心が低くなると、バランスを崩しそうになった時にリカバリー時間は短くなりますので、平地を走っている場合には左右のブレが少なくなり、安定感があると言えると思います
しかし、バランスを崩すまでの角度は小さくなりますから転びやすいとも言えます

重心が高くなると、バランスを崩すまでの角度が広くなり、リカバリー時間が長く取れるのでバランスが崩れそうになってからの立て直しがしやすくなりますから、安定感があると言えると思います
しかし、ブレが大きくなり真っ直ぐ直進するにはテクニックが必要になります

実際に転倒リスクが高いオフロード用のMTBは自転車の中では、かなり高重心と言える設計です
高速走行するロードバイクはツーリングバイクよりも高重心ですが、タイムトライアル車は低重心である場合が多くなります
タイムトライアル車はシッティングでのペダリングが殆どであることと、重心を下げることで前面投影面積が減り、空気抵抗を軽減させることが理由だと思います

一言で言ってしまえば「バランスが大事」なのですが、ツーリングバイクの場合には下記の要素が前提条件としてあると考えて大槻は「比較的低重心設計」にしています

・ダンシングは多用しない
・急カーブの下り坂ではシッカリと減速してからコーナーに入る
・コーナーの立ち上がり時に加速しない
・集中力が切れてもトラブルを起こしにくく
・ハードなオフロードを想定しない

そんなことを考えた上で、リーン角度を26°は最低取れる様(出来れば27°取りたい)な設計を心がけています
※お客様の指示が無い場合に限ります
BBハイトはフレーム設計の1歩目だと思っています(ちなみに2歩目はフロントセンター長)

しかしオーダーフレームを注文する場合でも、マスプロ車を完成車で購入する時も、メーカーへの指示やカタログ表記はBBドロップで表記されていますよね
※BBドロップ=タイヤ半径-BBハイト
タイヤサイズやクランク長等に影響されるBBハイトやリーン角度は表しにくいサイズでもありますから、表記しやすい・フレームが作りやすいBBドロップで表しているのでしょう
では、リーン角度を26~28°にする為のBBドロップはどの位でしょうか(標準的なツーリングバイクでQファクターが150mm・ペダルはMKSシルバンツーリングと仮定)
主要タイヤサイズですと・・・

650x42B&165mmクランク・・・67~60mm
650x42B&170mmクランク・・・63~55mm
650x38B&165mmクランク・・・64~56mm
650x38B&170mmクランク・・・59~51mm
650x32B&165mmクランク・・・59~51mm
650x32B&170mmクランク・・・54~46mm
700x30C&165mmクランク・・・78~70mm
700x30C&170mmクランク・・・73~65mm
700x28C&165mmクランク・・・73~65mm
700x28C&170mmクランク・・・68~60mm
700x26C&165mmクランク・・・71~63mm
700x26C&170mmクランク・・・66~58mm

如何でしょうか?皆さんが考えるよりもBBドロップが短いと感じられませんか?
650Bタイヤでは65~60mm・700Cタイヤでは75~70mmが標準的なBBドロップだと思いますが、タイヤが細い700C系ですと、60mm台の数値が並びます
リーン角度ばかりに囚われてこの数値にしてしまうと、重心位置の高いフレームになってしまうと共にスタンドオーバーハイトが高くなり、トップチューブに跨った際に股が当たってしまいます
その為、BBドロップはもっと長く取り75~70mmに合わせます
そうすると、シルバンツーリングペダルではリーン角度が取れなくなってしまい、危険ですので、リーン角度が取りやすいペダルが必須となる訳です
こんな感じで、乗り味を犠牲にせずにリーン角度を確保出来るペダルの選択は自転車作りには非常に重要だと思っています

フレーム設計は本当に奥が深いと思います
あくまで大槻の考え方ですので、あしからず・・・

※9/19 一部内容に間違いがありましたので訂正致しました

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